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もんもん質問箱

皆様からのよくある質問にお答えするコーナーです。

12 骨折の痛みがなかなかとれないのはどうして?

11 薬が効かない?

10 どうしてお酒がやめられないの?

9 薬で私の気持ちが変えられるの?

8 ストレスがなくなったのに、どうして体調がもどらないの?

7 どうしてすぐに入院させてくれないの?

6 不倫がやめられない

5 カウンセリングは魔法の薬?

4 パニック障害はいつ治るの?

3 過食がとまらない

2 性格が暗いのは親のせい?

1 結婚と仕事に行き詰まって





12 骨折の痛みがなかなかとれないのはどうして?

Q1 階段から落ちて、足の骨を骨折してしまったけれど、痛みがなかなか取れないのはどうしてなの?
A1 時々そういう訴えで心療内科を受診する患者さんはいる。

Q2 整形外科の先生に、この痛みをなんとかして欲しいと何回訴えても、骨はくっついていると言って、相手にしてくれない。そのうちに、心療内科に行くように言われた。本当に痛くてこんなに苦しんでいるのに、どうして気のせいみたいに扱うの?
A2 痛くて苦しんでいるのはよくわかるけれど、整形外科的には問題ないと思う。

Q3 でも、痛くて痛くて何もできないし、夜も寝にくい。痛み止めももらったけれど、ぜんぜん効かない。私の話をまったく聞いてくれないので、あの先生は医者としてもう信用できない。いくら訴えても、心療内科に行けとしか言わないけれど、この痛みは本当に心療内科で治るの?
A3 整形外科の先生は朝から晩まで整形外科の患者さんしか診ていないので、どうもないと言ったら、整形外科的にはほぼ大丈夫だと考えていい。実のところ、整形外科の先生ももう骨折はきれいに治っているのに、患者さんがいつまでもこういう痛みを訴え続けるので、本当に困っていると思う。

Q4 私が仮病でも使っていると思っているの?
A4 そうではなくて、整形外科の先生も専門家なので、いくら調べてもどうもない患者さんの訴えにはどう対応していいのかわからない。

Q5 じゃあ、私は一体どうしたらいいの? この痛みがずっと続くなら、これ以上生きていけない。
A5 とりあえずは、心療内科の薬で反応を見てみよう。

Q6 痛み止めの薬はいろいろ変えてもらったけれど、最初は少しましだと思っても、すぐに効かなくなる。どうして、この痛みが心療内科の薬でよくなるの?
A6 とりあえず、今の状況をこういう風に考えて見よう。足の骨折の痛みの大きさを10としよう。この痛みは神経を伝わって脳に届くが、10の痛みが10として脳に届くのは問題ない。しかし、何らかの原因で、痛みを受け取る脳の感度が高まっていて、10の痛みを100の痛みとして受け取ったら、耐えきれない痛みとなってしまう。小さな物音でも拡声器で増幅されたら大騒音になるのと変わりない。心療内科で使う薬は精神安定薬や抗うつ薬が多いが、この増幅した脳の感度を下げてくれる作用がある。10の痛みを100ではなく、20にでも30にでも減らせたら、ずいぶんと楽になる。整形外科の先生にとっては、せいぜい10の痛みぐらいなのに、患者さんから100の痛みのように訴えられると、大げさのようにしか聞こえない。

Q7 苦しくて仕方ないので、とりあえずは飲んで見るけれど、本当によくなっている患者さんはいるの?
A7 実際によくなる患者さんは多い。他にも、耳鼻科で耳鳴りの検査をしてどうもないと言われても、気になって仕方ない患者さんや、胃腸の不快感が消化器科にかかってもとれない患者さんなど、心療内科の薬でよくなる患者さんはたくさんいる。


11 薬が効かない?

Q1 うつ病で薬を出されているけれど、少しもよくならない。今の薬は私にはあっていないの?
A1 飲みだして、どのくらいになるの?

Q2 まだ5日ぐらいだけれど。薬はすぐには効かないの?
A2  うつ病やパニック障害を治すパキシルなどのSSRIは効果が出てくるには1週間以上かかる。トフラニールなどの三環系の抗うつ薬(うつ病を治す薬)もすぐには効果が出てこない。他にも幻覚や妄想を治す抗精神病薬も効果が出てくるのに時間がかかる。

Q3 頭痛薬は頭が痛い時に飲んだらすぐ効くけれど。
A3 薬の効き方は大きく分けて、すぐに飲んで効く薬と飲み続けてじわじわと効いてくる薬がある。例えば、睡眠導入薬は今飲んですぐ効いてくれないと困る。今晩は眠れなかったけれど、明日の晩に効いてくることなんてありえない。頭痛薬も同じ。不安やいらいらをとる精神安定剤も、飲んだらすぐに効果が出てくる。だから、パニック障害の人は電車に乗る前に飲むと、不安を抑えることができる。こういう薬はすぐに効くが、その場限りの効果しかない。言い換えると、その場勝負の薬である。反対に、しばらく飲み続けなければ効果が出てこない薬の場合は、やめてもその効果がしばらく続いたりする。患者さんがこういう薬を減らす時には、ゆっくりと時間をかけて減らすことが必要になる。薬をやめても調子がいいので治ったと思いやすいが、すぐに悪くならずしばらくの間薬の効果が続くいている場合もある。こういう薬は効果が出てくるのに時間がかかり、やめてもすぐには悪くならず、薬の効果がなくなるのにも時間がかかることがある。

Q4 そうしたら、もうちょっと飲み続けていたら効果が出てくるの?
A4 今の薬をしばらく飲み続けて効果のない場合は、2つのことが考えられる。1つは、薬の量があっていない場合で、まだ量が足りないかもしれない。

Q5 なるべく薬の量は増やしたくないけれど。
A5 患者さんはみんなそう言うけれど、効果のない量を飲んでいても仕方がない。例えば、ここにコーヒーが1杯あるとしよう。砂糖をいれる場合、好みもあるが、スプーン5分の1の砂糖を入れても、少し甘いような甘くないような味がするだけである。スプーン半分の砂糖を入れたら、だいぶ甘みを感じるが、まだ物足りない感じがする。スプーン1杯の砂糖を入れたら、ちょうどいいぐらいで、美味しくコーヒーが飲める。ところが、スプーン5杯の砂糖を入れたら、まずくてとても飲めたものではない。砂糖の量によってこれだけ効果が変わるように、薬の量も少なすぎたら効果が出てこないし、多すぎたら副作用ばかりで、眠気やだるさが出てしまう。コーヒーに入れる砂糖の場合は、個人によってその量はせいぜいゼロから1杯ぐらいの差であるが、薬の場合は薬が効いてくる量の個人差が大きい。たとえば、精神安定剤のセルシン(ホリゾン)は2mg、5mg、10mgと5倍の差のある錠剤を用意している。抗うつ薬や睡眠導入薬の場合もほとんどが量の少ない薬とその倍の量の薬を用意している。

Q6 じゃあ、量を増やしたら、よくなるの?
A6 確実によくなるとは限らない。どういうことかというと、抗うつ薬にもいろいろな種類があって、いま使っている薬が患者さんにあっていないと、いくら量を増やしても効果がない。

Q7 どうやって、私にあう薬を見つけたらいいの?
A7 一般的には誰にも効きやすい薬から始めて、効果のない時には他の薬に変えていく。今の薬が効かないからといって、すぐに薬をころころ変えていくのはよくない。量が少なすぎて効かないのか、薬があわずに効かないのか、充分な量を使って確かめないとわからない。なかなかよくならなかった患者さんが、薬の量を増やして見違えるようによくなる場合もあるし、薬を変えてうそのようによくなる場合もある。

Q8 以前に精神安定剤を飲んでいた時に、薬の種類を変えたら、今まで飲んでいた量と比べてすごく増えたけれど、これは薬が強くなったの?
A8 違う種類の薬の量を比較しても意味がない。例えば、睡眠導入薬のレンドルミンは1錠0.25mgだけれど、マイスリーの強い方の薬は1錠10mgもある。量としては40倍違うけれど、薬の効果としてはそれほど大きな差はない。


10 どうしてお酒がやめられないの?

Q1 父親が毎晩お酒をたくさん飲み、大声で怒鳴ったり、母親に暴力をふるい、どうしたらいいの?
A1 アルコール依存の場合は、いくら名医でもなかなか簡単には治せない。

Q2 休みの日は朝からお酒を飲んでいるし、きのうも朝起きれず会社を休んでいる。お酒を飲んでいない時にはまだおとなしいのに、もうちょっとお酒を減らせる方法はないの? 
A2 夕食はきちんと食べているの?

Q3 おかずを少しつまむ程度で、ごはんは全く手をつけていない。ただ、ひたすらお酒を飲むばかり。本人はアル中でないと言っているけれど、アル中と大酒飲みの区別はどうするの?
A3 簡単には線引きできないけれど、朝から酒を飲みだしたり、夕食をほとんど取らなかったり、会社の欠勤や遅刻が多くなったら、ほぼ間違いなくアル中になる。夜もいやな夢を見たり、悪夢にうなされたりするようになる。

Q4 本人はいつでも酒をやめようと思ったらやめれるので、アル中ではないと言っているけれど?
A4 アル中の人はみんな同じことを言う。酒をいつでもやめれると言っても、せいぜい数日のことで、その後はまた元の木阿弥になる。

Q5 お酒を減らすいい方法はないの?
A5 アル中の人には節酒は無理で、お酒は一滴も飲まない断酒しかない。断酒というのは、忘年会でも飲まず、正月でも飲まず、娘の結婚式でも絶対に飲まないことを意味する。

Q6 あれだけお酒が好きなので、断酒なんてとても無理。母親も言っているけれど、せめて、今の半分ぐらいになったらまだましになると思うけれど。
A6 節酒は成功しない。どうしてかというと、例えば今まで一升飲んでいた人が、3合でやめようと思っても、その人にとっては3合のお酒がはいった時点ではすでにほろ酔いかげんで、とてもここで酒をやめようという意志力は働かない。酒がまったくはいっていなかったら、酒をやめようという意志力は働くが、酒が中途半端にはいった状態ではそれこそロケットに火がついて、「さあ、これから」という発射寸前にやめなければならないことになる。最初は節酒ができていても、少しずつ量が増えていってすぐにまた元の量に戻ってしまう。

Q7 酒さえやめてくれたら本人ももっと楽になると思うけれど、どうしてやめられないの?
A7 患者さんにとっては酒をやめたからと言っても苦しいだけで、飲むも地獄、やめるも地獄になる。

Q8 どうしてそんなことになるの?
A8 酒をやめると、今まで酒でごまかしていた事がすべて出てくる。不眠やいらいら、身体のだるさやあちこちの身体の痛み、憂うつな気分など酒で覆い隠されていたことがすべて出てきて、そのすべてに直面しなければならなくなる。依存というのは、人を家に例えると、土台の一部に腐った木が使われている状態で、その腐った部分をすぐ取り除いたらいいが、何か代わる物が必要で、むやみやたらに取り除いたら家はつぶれてしまう。かといって、そのまま放っておいても腐った部分が広がって、いずれにしてもつぶれてしまうことには変わりない。

Q9 じゃあ、どうしたらいいの?
A9 1番大事なことは本人の酒をやめたいという強い決意。外来で断酒をするのはなかなか難しいので、専門的な病院に入院して断酒するのが早い。アルコールをやめるためのいろいろなプログラムがあるのでそれを受け、当初は断酒会などの自助組織に参加することも必要。


9 薬で私の気持ちが変えられるの?

Q1 気分が沈んで、死んでしまいたい気持ちだけれど、薬で治るの?
A1 典型的なうつ病の場合は薬がよく効くけれど、小さな頃から生きていることに空しさを感じていて、いつも死にたいと思っていた場合には薬だけでは難しい時がある。

Q2 どんな症状に薬は効きやすいの?
A2 以前にはあまりなかった症状で、最近出てきた症状は比較的治りやすい。

Q3 具体的にはどんな症状?
A3 以前はよく眠れていたけれど、最近寝にくくなってきたとか、息苦しいとか、いらいらするとか、気力がなくなってきたとか、以前と比べて明らかに体調がおかしくなってきた場合には、薬で以前のレベルまで回復しやすい。

Q4 明らかに心配事があって、そのことが解決しなくても症状はよくなるの?
A4 薬で気持ちは楽になれる。典型的なうつ病の場合はいろいろ解決できない問題がきっかけとなって発病することが多いけれど、心配事が解決しなくても症状はよくなる。

Q5 どうしてよくなるのか理解できないけれど?
A5 うつ病の場合は心配事が目の前に迫ってきて、この心配事を解決しないとよくならないと思うけれど、薬で心配事が後ろに退いてくれたら、症状は改善する。だれでもいろいろな悩み事はかかえているけれど、もう考えるのはやめようとかほっておこうと思えばなんとか心の片隅に追いやることができる。ところが、うつ病になるとそのことは考えないようにしようと思っても、そのことばかりが気になって、その問題を解決しないとよくならないと思い込んでしまう。薬で心配事が後ろに退いてくれると、後でどうしてあんなことで悩んでいたのかと不思議に思う。

Q6  薬で治りにくい症状は?
A6  過食や嘔吐が何年間も習慣化して続いている場合や、リストカットも何年間も習慣化している場合。確認や手を洗わないと気がすまないという強迫症状も難しい。アルコール依存や薬物依存などは、本人の意志力が強くかかわってくる。パチンコ依存を薬で治してほしいと言われても、無理がある。後は、これまでに身につけてきていない社会的技術も薬では解決しない。

Q7 社会的技術というのは?
A7 義務教育や高校、大学というのは、勉強よりも同世代の仲間や先輩、後輩とやっていくための対人関係の技術を身につけていく場所になる。自分の考えを上手に表現したり、いやなことを上手に断ったりする方法を集団生活の中で学んでいく。アルバイトなども社会に出る前のいい練習の場になる。対人関係が苦手ということで、この部分の訓練を怠っていて、いきなり薬で人間関係をうまく築けるようになりたいと言っても無理がある。ピアノの練習もしていなのに、いきなり薬の力でショパンを弾けるようになりたいと言っているようなもの。対人関係をうまくやるには基本的には地道な経験の積み重ねが必要。それでも、薬によって対人緊張は和らげられる。

Q8 他には何があるの?
A8 たとえば、嫌いな人を好きになる薬もなければ、好きな人を嫌いになる薬もない。同じように、嫌いな仕事を好きになる薬もない。勉強が好きになる薬もないし、いつも仕事がやる気になれる薬もない。これらの症状がうつ病に伴うものだったら、ある程度の改善も期待できるが、他は無理。もちろん、異性にもてる薬もない。

Q9 言われなくても、そんな都合のいい薬なんかないと思うけれど。
A9 ところが、患者さんのかかえる悩みを掘り下げていくと、こういう問題にたどり着いてしまうことも多い。なかなかよくならないと言われるけれど、こういうことを解決する薬はない。だから、精神科の治療は身体の病気のようにすっきりとは治りにくい。


8 ストレスがなくなったのに、どうして体調がもどらないの?

Q1 会社で4月に部署が変わり、慣れない仕事と口うるさい女性の上司とで、体調を壊してしまった。1ヶ月ほど休んで、また以前の慣れた部署に戻してもらったけれど、すぐに疲れて前の半分の仕事もこなせない。これは、一体どうしてなの?
A1 今はストレスの原因となることがないのに、体調がもどらないということだね。

Q2 前の仕事はパソコンの入力の仕事ばかりで、上司も面倒な仕事は全部押し付けてきて、毎日残業も続いて、本当に疲れきってしまった。慣れなければいけないと思って、10ヶ月ぐらいは頑張ったけれど、出勤途中で倒れてしまって、そのまま休養になってしまった。心療内科で薬を処方してもらって、今は気分はだいぶ楽にはなっているけれど。
A2 1ヶ月での職場復帰は誰が決めたの?

Q3 会社の方がどうしても人が足らず、前の部署に戻してくれると言ってくれたので。1ヶ月も休んだし、あのいやな上司の顔を見なくてすむと思ったら、また元気に働けると思った。周りはみんないい人ばかりなのに、前とは違ってなかなかやる気が出てこない。
A3 会社の人も患者さんもストレスの原因となっていることを取り除いたら、すぐに元気になると思うけれど、実際はなかなかそういかない。
 
Q4 それはどうしてなの?
A4 わかりやすく1人の人間を1軒の家に例えよう。ストレスを重しと考え、家の上に重しがかかったとしよう。重しが軽ければ家はびくともしないが、重くなってくると、家はみしみしと音を立ててくる。この時に重しを取り除いたら、家は何ともないが、ますます重しが大きくなると、家はその重みに耐えられず、屋根や柱などに傷が入ってくる。半壊の状態になってからあわてて重しを取り除いても、なかなかすぐに家は元のようにはにもどらない。それなりの手間と修繕も必要となってくる。よくあるのが、全壊してからあわてて重しを取り除くことで、いくら原因となる重しを取り除いても、もう手遅れである。家を最初から建て直すにはとんでもない時間がかかる。1年以上休んでいて、どうして改善しないのかと会社の人が聞いてくることがあるが、全壊してからでは元のように回復するのはなかなか難しい。

Q5 私の場合はどうなるの?
A5 全壊まではいっていないと思うけれど、出勤途中で倒れるぐらいなので、10ヶ月間限界を超えてかなり無理して頑張っていたと思う。あまり頑張りすぎると、体力も気力も消耗しつくしてしまっているので、回復するのに時間がかかってしまう。半壊の手前ぐらいまではいっていたと思う。

Q6 これからどうしたらいい?
A6 また休養を取って、完全に回復してから職場復帰した方がいい。これからは、自分の限界だと思ったら必要以上に頑張らず、早めに心療内科などに相談すること。会社のために一生懸命仕事をするのはいいけれど、身体がぼろぼろになるまで自分を犠牲にして頑張る義理もないと思うけれど。


7 どうしてすぐに入院させてくれないの?

Q1 父親がアル中で、酒を飲んでは暴れて困っている。どこか入院させてくれる所はないの?
A1 本人が入院する気にならないと、難しい。

Q2 きのうは一晩中暴れていて、大声を出してし窓ガラスを割るし、警察の人に来てもらった。入院を頼んだけれど、病院に相談するように言われた。すぐに暴力をふるうし、入院の説得なんてとても無理。何か強制入院みたいな方法はないの?
A2 いくら家で暴れたり、家族に暴力をふるったりしても、本人の意志に反して強制的に入院させるのは難しい。他人に暴力をふるったり、他人の物を壊したりしたら、強制入院の道も開けるかもしれないけれど、家の中だけではどうしようもない。

Q3 この前はかなり酔って、家族が止めるのをふりきって車を運転し、ガードレールに車をぶつけて帰って来ている。もし、他人をひいたりしたらと思うと、心配で夜も眠れない。
A3 家族が本当に困っているのはよくわかるけれど、強制入院には一定の手続きが必要。本人がいやがるのを家から引きずり出し、病院まで無理やり連れて行って、本人の意志に反して鍵のかかる病棟に入院させるには、やはりそれだけのことをやるきちんとした要件を満たさないといけない。
 
Q4 家族ももう限界にきているので、こちらから病院に頼んで、迎えに来てもらって、本人をなんとか入院させてもらうことはできないの?
A4 完全なアル中で治療が必要なことはわかるけれど、強制入院は人権侵害にも関わってくる問題なので、どこの病院もわざわざ家まで迎えには行かない。

Q5 じゃあ、家族はどうしたらいいの?
A5 一つの方法はなんとか病院の外来まで連れて行くこと。他の病気でも、外来まで連れて行くと、専門医が判断して、本人が入院をいやがっても、なんとか入院させてくれることもある。ただ、アルコール依存や薬物依存の場合は本人が断固として入院を拒否した場合は難しい。

Q6 あちこちの病院に問い合わせをしてみたら、アル中の人は扱っていませんという病院が多いけれど、どうしてなの?
A6 アル中の人は酔いが醒めたら、普通の人と変わりないので、文句やへ理屈ばかりが多く、精神科病棟での扱いが難しい。薬物依存の人もそうだが、他の患者さんを脅したり、タバコやお金をまきあげたりするなどトラブルも多い。開放病棟に出したりすると、隠れて酒を飲んできたりすることもある。入院している時には酒はやめられるけれど、退院したらまたすぐもとの木阿弥になりやすいので、単なる収容だけの治療的意味のない入院は嫌うところが多い。

Q7 今入院している人というのはどうやって入院できたの?
A7 よくあるのが、内科病棟に入院している時に酒が飲めず、禁断症状が出てくる場合。禁断症状というのは、単に手がふるえるだけでなく、離脱せん妄といって、夜間に夢と現実が入り混じって大暴れをしたりする。この場合は内科から精神科の専門病院に転院になったりする。自宅でも離脱せん妄が出た場合も、そのまま入院になることもある。他には、飲みすぎて身体が衰弱した場合など、とにかく本人がしっかりと入院拒否ができない時が多い。それでも、まず受け入れてくれる病院を見つけださないといけない。

Q8 アルコールや薬物依存以外に入院が難しい病気は他に何があるの?
A8 最近多いのは痴呆の患者さんで、いろいろとトラブルを起こす人。痴呆病棟のあるところは受け入れてくれるけれど、どこも満床で、部屋がなかなかあかない。痴呆の患者さんはいくら精神状態が悪くても精神科の一般病棟にはなかなか入院させてくれない。どうしてかというと、精神科の病棟は本来は統合失調症などの患者さんのために作られている。痴呆の患者さんを入院させると退院ができず、すぐに部屋が動かなくなってしまう。他にも自傷行為を繰り返す境界性人格障害などの患者さんも難しい。入院してもあまり治療効果はあがらず、病棟の中でスタッフとのトラブルも多い。


6 不倫がやめられない

Q1 会社の上司と不倫の関係になってもう5年になるけれど、今度上司の転勤で別れ話が出て、本当に別れられるか心配。
A1 関係が長くなればなるほど難しいけれど、年齢はいくつになるの?

Q2 私が30歳で、彼は42歳。しばらく会わないように決めたけれど、毎日がつらくて仕方がない。最近は夜も寝にくく、会社に行ってもあまり仕事が手につかない。彼は私のことを本当はどう思っているの?
A2 好きだと思うけれど、結婚のことも心配していると思う。

Q3 最近は親が見合い結婚をしろとうるさいし、自分でもどうしていいかわからない。仕方ないので2回ほどしたけれど、どちらの相手もその気になれない。一旦別れようと決めたけれど、やっぱり彼なしではやっていけない。
A3 不倫を始める時には、みんな最初は若いし、一時的な人生の経験ぐらいにしか考えない。そのうちいい恋人ができたら別れようと思うけれど、人間はみんな楽な方に流れてしまうので、なかなか別れられなくなる。

Q4 楽な方というと?
A4 年上の妻子ある男性というのは、相手にもよるけれど、若い女の子には優しいし、けんかになってもけんかにならない。上のほうから優しく包み込んでくれるところがある。ところが、同世代の男の子との付き合いでは自分も若いから、お互いに未熟なところが出てしまって、すぐにけんかになってしまう。年上の男性はいくらわがまま言っても優しく受け入れてもらえるし、経済的な余裕もあるので、ついつい楽な方に流れてしまう。それに、自分の気に入った同世代の男性を見つけてつきあうのは、もともとすごいエネルギーがいる。

Q5 どうして上司とこんな関係になってしまったのかしら?
A5 いろいろなケースがあるけれど、なんらかの理由で自己評価の低い人は自己評価を上げてくれる人として上司を選んでしまうことがある。

Q6 意味がよくわからないけれど。
A6 例えば、家庭で母親などからダメな子としていつも非難されて育ってきた子どもは自分の評価はどうしても低くなってしまう。だから、自分なんかまともな男の人からは愛されないと思ってしまう。そして、当然男の人に対しても消極的になってしまう。その時に、飲み会などで上司から誘われて関係を持ってしまうと、上司もついつい求めてしまうし、女の子も求められて決して悪い気がしない。有能な上司であれば、自分が本当に必要とされていると感じると、これまでだめだと信じ込んでいた自分の自己評価はあがってくる。自己評価の低い女の子は、他にもいろいろなパターンがあって、ダメ男につくしてしまうケースもあるけれど、そのことについては各論の心因反応で書いているから、そちらの方も読んでみて。

Q7 上司が私に求めてくるのはセックスなの?
A7 恋愛はもともと肉体も心も含まれる。純愛だと思っても、男性にとってはセックスが大部分占めているかもしれない。もともと結婚も安定した性生活を目的にしているし。

Q8 じゃあ、私の不倫は単なる中年男に身体を弄ばれていただけなの?
A8 そうではないと思う。その時にはお互いに輝いていたと思う。中にはつまらない男と結婚して苦労するより、一生愛人でいいという人もいる。ただ、その覚悟がないなら別れた方がいいと思う。リセットするのは死ぬほど苦しいけれど、別れなければ新しい人生も開けない。

Q9 先生は不倫はどう思っているの?
A9 そうせざるをえなかった人の気持ちはよくわかるが、基本的にはしない方がいいと思っている。始める時にはみんな落とし穴に気づかないが、いろいろなリスクがあることは自覚した方がいい。それに、クリスマスとか正月とか記念日的な日には魅力的な相手ほど家庭を優先するので、その時の孤独感は大変だと思う。いろいろと失敗もあるかもしれないけれど、やはり同世代の人と熱い恋愛をしたらいいと思う。


5 カウンセリングは魔法の薬?

Q1 心療内科や精神科ではカウンセリングはしてくれないの?
A1 今かかえている問題などいろいろな相談にはのってくれるけれど。

Q2 会社のことで夜が眠れなくなって、病院には相談に行っているけれど、薬を出すばかりで、もっとカウンセリングみたいなことはしてくれないの?
A2 ふだん先生に話していることも、ある意味でカウンセリングに含まれているんだ。何か特別相談したいことがあるとか、特別カウンセリングで知りたいことがあるの?

Q3 いらいらして、気分が憂うつでしかたないけれど、薬に頼らずこの気持ちを明るく変えてもらえないの?
A3 会社のことや悩みごとを相談して、気持ちは楽になるけれど、カウンセリングだけでは無理な時がある。特に夜が眠れない時には、薬が必要になる。患者さんの中にはカウンセリングを受けたらすべて解決すると錯覚している人もいるけれど、限度がある。

Q4 カウンセリングはどういう時に利用したらいいの?
A4 子育ての悩みや近所付き合いや友人とのトラブルなどから始まって、若い人の場合はこれからの生き方もアドバイスを受けることができる。自分の性格をもっとよく知りたいとか、今かかえている問題をどう解決したらいいかなどももちろん対象になる。でも、ふつうの診察でもこういうことはしているので、現実的にはもっと長時間話を聞いてほしい人が対象になる。

Q5 カウンセリングで治らないのは、不眠のほかに何があるの?
A5 うつ状態が強いときには薬が優先される。うつの時にはカウンセリングさえ受ける元気がないし、死にたいという気持ちも強い。パニック障害も認知行動療法以外はあまり役に立たない。うつ病でもパニック障害でも薬を飲んでいてなかなかよくならない人が、カウンセリングを希望することがあるけれど、この場合もそう簡単にはいかない。

Q6 更年期障害や自律神経失調症の場合はどうなの?
A6 純粋に精神的なことといえない場合はカウンセリングだけではむつかしい。薬を上手に利用した方がいい。身体的訴えが多い人はカウンセリングにはあまり向かない。カウンセラーは医者ではないし、身体的訴えが前面に出てくる人は一般的には苦手。もちろん、訴えの背後にいろいろな問題をかかえている場合もあるけれど、教科書のようにはなかなかうまくいかない。

Q7 カウンセリングはどこで受けたらいいの?
A7 専門の医師と協力しながら、その病院や診療所でカウンセリングを受け、心理的な面ばかりでなく医学的な面も補ってもらうのが理想。でも、心理カウンセラーがいる医療機関はまだ少ないし、料金面でも1時間ぐらいになると健康保険がきかなくなったりする。また、薬の必要のない登校拒否などは、必ずしも医療機関でなくてもいい。
 
Q8 病院や診療所以外ではたとえばどういうところがあるの?
A8 子どもの場合は児童相談所や京都の場合は最近できた京都市教育相談総合センターなどがある。公的な相談所は無料でやってくれる。最近は各大学の心理学部で心理相談室を設け、一般の人を対象にカウンセリングをしてくれる。もんもん日記でもふれているけれど、臨床心理士の育成のため、どこも力をいれてやっている。料金は1時間三千円前後の所が多いけれど、京都では立命館大学や京都文教大学など多くの大学でやっている。心理関係の学部がないとやっていないけれど、詳しいことは各大学で問いあわせたらいい。でも、あくまでカウンセリングだけで、薬は出ないし、健康保険もきかないのでまちがえのないように。


4 パニック障害はいつ治るの?

Q1 パニック障害で薬を飲み続けているけれど、いつまで飲まなければならないの?
A1 パニック発作の回数にもよるけれど、薬が効いているなら、しばらく飲み続けたほうがいい。

Q2 薬以外で治す方法はないの?
A2 全くないわけでないけれど、行動療法などは手間ひまがかかって、なかなか最後までやり通すのがむつかしい。
 
Q3 半年間どうもなかったのに、この前久しぶりに地下鉄の中で発作を起こしてしまった。もっと簡単に催眠術みたいなので治せないの?
A3 催眠術では無理だと思う。みんななかなか治らないと嘆いているけれど、ふだんは巧みに苦手な場所や状況を避けているだけなんだ。半年間起こらなかったのも、たぶん地下鉄に乗る機会がなかったか、いろいろな理由をつけて避けていただけだと思う。

Q4 この前は子どものクラブの応援で、どうしても地下鉄で行かなければならなかったし。ふだんはどこに行くのも50ccのバイクを使っている。
A4 一番苦手なことをいつもやらずに避けていて、ある日突然その苦手なことが楽になるなんてありえない。
 
Q5 そういえば、地下鉄に乗る前から、不安で不安で仕方なかったわ。前はまだもっと我慢して乗れていたと思うけれど。
A5 恐怖の対象を避ければ避けるほど、不安は大きくなっていく。だから、苦手な場所や状況でも必要以上に避けないことが大事。

Q6 そんなことを言われても、あの死にそうな恐怖は二度と味わいたくない。
A6 毎日の生活を、今日は発作が起こったから最悪の日で、起こらなかったから最良の日と考えるのではなく、何をしたかで自分を評価していくことが大切。本来やりたいことがあったら、発作がでたらと考えてやめるのではなく、とりあえずやっていく態度を身につけていこう。自分の人生を発作の有無で評価するのではなく、発作が起ころうとなかろうと、何をしたかで評価していくことが大事。発作そのものは苦しいけれど、発狂したり、死んだりすることは絶対にない。

Q7 頭ではわかっているけど、もっと苦痛の少ない方法はないのかしら?
A7 日常生活で一番怖いことを避けて避けて避けまくって、克服しようと思っても無理がある。例えば、水が怖いけれど泳げるようになりたいという場合、どこかで水にはいらないと泳げるようにならない。畳の上で一生懸命泳ぐ練習をしても、意志力を鍛えるために山にこもって修行しても、座禅を組んで断食をしても、水を避けて泳げるようになるのは不可能なんだ。いきなり水深2メートルのプールにはいる必要はないけれど、最初は足首までの深さに慣れて、徐々に深いところで慣らしていったらいい。どうしても不安が強い時には、薬を上手に利用しよう。


3 過食がとまらない

Q1 過食がとまらないけれど、早くとめてほしい。体重がまた増えだして、何も手がつかない。今すぐなんとかならないの?
A1 なかなかすぐにとめることは難しい。

Q2 薬でもなんでもいいから、何か方法はないの? このままだったら、せっかくやせていたのにまた前のように戻ってしまう。
A2 過食によく効く薬はまだないんだ。新しい抗うつ薬であるSSRI(ルボックス、デプロメール)が比較的よく効くと言われるけれど、実際の効き具合はもうひとつ。

Q3 きのうもコンビニで菓子パンを5個も買って食べ、その後学食でお昼のランチを食べ、すぐにアイスクリームやケーキも食べてしまったの。トイレで吐いているけれど、少しずつ体重が増えてきている。きのうの夜は食事をぬいたけれど、またけさ過食してしまった。
A3 食べ過ぎたからと言って、食事をぬいたりするとまた反動がきて、悪循環になりやすい。

Q4 あれほど食べた後でも、きちんと食事をしろということ?
A4 急がばまわれで、規則正しい食事をした方が安定しやすい。

Q5 いったい何が原因でこんなことになってしまったの?
A5 一概には言えないぐらい、いろいろなケースがある。みなやせ細っている時には、家族が心配して病院に行くように言っても、決して行こうとしないけれど、過食がとまらなくなると、大慌てで自分から受診して、早く治してくれという。病院もダイエット道場ではないので、そんな簡単にやせる方法はない。

Q6 じゃあ、このままほっておけというの?
A6 そうではなく、いま起こっている過食はたまたま運が悪く、今さえ乗り越えたらなんとかなるという単純なものではないことを自覚することが大事。拒食(極端な食事制限)は治さなくて、過食だけ治してほしいと言うのは無理な話なんだ。

Q7 具体的にはどうするの?
A7 食行動の改善から始めるけれど、自分の食事について書き出してパターンを知ったり、過食が起こりそうな時にすっぱいものを口に入れたりとか、いろいろ工夫が必要になる。また、自分の性格や行動パターン、価値観やいろいろなことに対する処理能力などをひとつひとつ見なおしていかなければならない。

Q8 そんな面倒くさいことをしなければならないの?
A8 どんな名医でも魔法のように簡単に治すのは難しい。最近は大きな書店の心理コーナーにもたくさん本が並んでいるので、参考にしたらいいけれど、やはり専門の先生と二人三脚でじっくりと時間をかけて治療していくことが大切。自分でも比較的やりやすい認知行動療法について書いたある本がおすすめ。


2 性格が暗いのは親のせい?

Q1 学校でもアルバイトでも人とすぐなじめないけれど、これは親の育て方が悪かったからなの? 特に年上の男性は苦手。
A1 人に気を使いすぎてうまいことしゃべれなかったり、ちょっとした言葉で傷つきやすかったりするのは、性格で仕方ないと思いやすいけれど、ある程度その成り立ちを知ることは役に立つ。

Q2 そもそも今もっている私の性格と親の育て方というのは関係あるの?
A2 関係はあるけれど、すべてが親の育て方のせいでもない。

Q3 じゃあ、具体的にはどう考えたらいいの?
A3 例えば、赤ん坊が生まれてきた時には、この世の中のことなんか右も左もわからない白紙の状態と考えられる。この白紙の状態にいろいろなことを書き込んでいくのが、母親の役目になる。この世で最初に出会うのが母親で、何もわからない時にほとんどの時間を接しているのも母親なので、その母親の価値観やものの見方がどうしてもその内容として白紙に書き込まれていく。

Q4 父親はお酒を飲むと怒りっぽくなって、大声で怒鳴ったりするけど、これは関係ないの?
A4 白紙に書き込んでいくのは母親だけれども、母親をとりまく環境も影響する。例えば、父親が浮気をしていて生活費も入れてくれなかったら、母親としても心にゆとりがなくなり、子育てもうまくいかなくなる。生まれてきたばかりの赤ん坊は、ただそこにいるだけで自分は世界から受け入れられているという感覚が身につくことが大事なんだ。

Q5 生まれてきた子どもにもいろいろな性格があると思うけれど?
A5 もちろん生まれつき人なつっこい赤ん坊から、神経の過敏な子までいろいろある。白紙の状態でも、書き込まれる白紙そのものはみな同じではない。書き込まれる内容はすべて残ってしまうしまう紙から、なかなか書き込まれない紙や、紙との相性によって内容によっては書き込まれやすかったり、すぐに消えてしまったりする。

Q6 今話題になっている虐待の場合はどうなるの?
A6 いつもわけもわからず殴られたり蹴られたりして育ったら、その子にとっては自分を取り巻く世界は脅威的で、敵意に満ちていると感じてしまう。ものごころがついてきても、父親が単なるアル中でただ機嫌が悪くて殴ったりすることも、最初に出会う世界が家族なので、世間一般と比べて客観的に判断することはできない。だから、殴られる時は、「靴をそろえてない」とか「ごはんをこぼした」とかもっともらしい理由をつけられるので、子どもは自分が悪い子だと信じ込んで常に罪悪感を抱き、世界から受け入れてもらえないと考えてしまう。

Q7 母親に余裕がなくなると、どうなるの?
A7 母親自身が不安定だと、子どもがこの世で出会う世界も不安定になる。また、母親が育児に必要な愛情を、甘やかしすぎると考えたり、もともと手間ひまのかかる育児に専念できなかったりすると、子どもは無条件で世界から受け入れられているという感覚が育たない。特に上昇志向の強い母親が、愛情と子どもの成績を直接リンクしてしまうと、子どもはいつもトップでなければいけないと感じてしまう。

Q8 上司から強く叱られたりすると、すごく自分を責めたり、いやな気持ちになるけれど?
A8 小さい頃から繰り返し父親に理不尽に怒られていたり、言い返すことができなかったりすると、その時の感情は条件反射のように作られてしまう。自責感や無力感、怒りや悲しみなどの感情が、父親とは全く関係のない上司の人に怒られただけで、条件反射のようにわき起こってしまう。本人もわけもわからずいやな感情に圧倒されてしまうけれど、父親と上司はまったく別人で、必要以上に自分を責めることはないと意識的に自分に言いきかせることが大事。

Q9 そんなことで自分が変えられるの?
A9 まったくわけもわからずわき起こってくるいやな感情にそのままふりまわされるのではなく、その成り立ちを知り、ちょっと待てよと自分にくさびを入れることが役に立つ。小さな頃に組み込まれたプログラムは、いやな感情であれ、母親の偏った価値観であれ、いろいろな場面でコンピューターのように自動的にたち上がってしまうので、そのプログラムを意識的に修正していかなければならない。なかなかうまいいかない時には、そのプログラムを解除する専門的な方法も工夫されている。

Q10 なかなか人に頼めない性格はこれも両親の影響があるの?
A10 もともと引っ込み思案な性格の場合もあるけれど、親の期待が大きすぎたり、恩着せがましく育てられている場合には、人に頼めなくなるし、人の親切も負担になってしまう。本来子育ては無条件の愛が基本になるけれど、そうでない場合には、何かしてもらったらその何倍も返さなければならないという心の負担が身についてしまう。また、母親が父親に上手に甘えて、いろいろなことを頼める家庭で育つと、子どもも自然と頼むことができるようになる。反対に、家庭で気楽には頼めないタブーが支配していると、子どもは頼むことに抵抗を覚えるようになる。両親に上手に甘えたり頼んだりした経験がなかったら、やはり他人にも頼んだりすることはできにくい。


1 結婚と仕事に行き詰まって

Q1 現在30歳の女性。最近結婚を考えていた彼とうまいこといかなくなり、仕事も行き詰まって何もかもいやになっているけど、心療内科を受診して何かいいことはあるの?
A1 心療内科を受診したからといって、彼がもどってくるわけではないけれど、追い詰められた気持ちは楽になるし、今後のことも前向きに考えていけるように手助けはしてもらえる。

Q2 ただ話を聞いてもらうだけで、何の解決になるの?
A2 頭の中でぐるぐるまわっている心配事や悩み事は八方ふさがりで、どうしようもないと思ってしまうけれど、誰かしっかり聞いてくれる人がいて、悩みを言葉に出して話すと、問題が整理され気持ちも楽になるんだ。

Q3 それなら、お母さんや友達でもいいの?
A3 身近な人でもかまわないけれど、専門の先生でないので、「そんな彼のことは早く忘れてしまいなさい」とか、「しっかり元気を出しなさい」とか、あまり役に立たない励ましになってしまいやすい。

Q4 じゃあ私のこの悩みはどう解決したらいいの?
A4 専門家でも、30歳前後の女の人の生き方は難しいと思っている。特に仕事に行き詰まって、すぐに結婚する相手もいない場合には精神的にも追い詰められやすいけれど、同じ悩みを持っている人は大勢いて決して自分だけではないんだ。彼がいても、今の不況では彼の給与だけで生活していくのは大変で、なかなか結婚に踏みきれず、年齢を重ねてしまう人も多い。
   女の人の職場環境も厳しく、年齢とともに責任は重くなり、給料は安く、手のかかる後輩の面倒までみなければならなくなってきている。また、男の人の意識も最近はだいぶ変わってきてきているけど、まだマザコンの人も多いし、男尊女卑の考えからぬけきらない人も少なくない。

Q5 彼のことはどうやってあきらめたらいいの? 3年間も付き合ってきて、もう一度30歳を過ぎてから人生をやりなおさなければならないの?
A5 人生はいつでもやり直すことはできるけれど、心が癒されるにはどうしても時間がかかる。彼のことを思い出して苦しくてたまらないのは当然で、彼に対する思いや後悔、あきらめや、怒りはなるべく言葉に出したほうがいい。日常生活に支障をきたすほど辛い場合には、薬でゆっくり夜が休めるようにしたり、気持ちを落ち着かせる方法もある。

Q6 もう仕事はやめたいけれど?
A6 そんなにあわてることはない。体調がくずれている場合には、休養の診断書を書いてもらって、ゆっくりと体調を整えたらいい。


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